生まれて気づいた時にはそこにあった山や川の自然、そしてそれに寄り添って生活の糧としてきた農業。子どものころはそれが当たり前にあるものだと思っていました。大人になり、「自分も農業で生きていく」と決めたときに、それが当たり前にあるものではなく、父や母、そして多くの人たちに支えられてはじめて成立しているものだと痛感しました。
小さなころは鶏のエサやりが私の仕事でした。エサを積んだ台車を押す父の後ろをついて歩いたのを思い出します。台車を自分で押せるようになるころには稲刈りやお茶刈りの手伝いをしました。ゴールデンウィークで友人たちが遊んでいるなか、「なぜ自分はお茶刈りをしなくてはいけないのか」「遊ばせてほしい」と父に不満をもらしたこともありました。
その年の気候や台風、虫や獣害によって大きく収量が変わる農業。そのなかでもさらにその影響を受ける有機農業。父の隣でその過酷さや辛さを見てきました。本当に自分にもできるのか? 父が40年築いてきたものを、引き継ぎ、守ることができるのか? 不安に思うことはありました。それでも、有機農業をやろう、頑張ろうと思わせてくれたのはお客様の温かい声でした。有機栽培がゆえに虫食いや味の変化は毎年おこるものです。そしてそれを理解し認めてくれるお客様の「おいしい!」「ありがとう!」の声にいつも勇気をもらえました。
子どものころは当たり前だと思ったり、不満も持った有機農業ですが、今では自分の天職だと思っています。多くのお客様や、有機農業に賛同して活動をともにしてくれる有志に支えられて今のそのだ農園があります。そしてこれからも少しでも多くの人たちに自然と寄り添う有機農業を通して、笑顔と美味しいを届けられたらなと思います。
6代目 園田 善明
そのだ農園のあゆみ
-
2021
『百年の森』に鶏小屋を建設
新商品の開発
・圧搾一番搾り菜種油『菜々めぐり』
・日本酒『田の』 -
2013
法人「株式会社そのだ農園」を設立
-
2009
6代目 園田善明 就農スタート
-
2003
有機JASの認証を取得。有機JAS認定農家となる
-
2002
自社の茶加工工場を完成
-
1990
『百年の森を育てる会』を発足
島田市東光寺の一部山林を管理・育林 -
1981
5代目 園田巳義
お茶・米・みかんの生産農家を先代より引き継ぐ
私たちでそのだ農園を営んでいます
園田善明(6代目)、園田巳義(5代目)